こいろり!



お嬢様の身を案じて、勢いよく扉を開けると──、




「きゃ、周……。いきなり開けないでよ!」

「お嬢様、一体何を……?」


ベッドの上で華花お嬢様が四つ這いになって、泰良さまの上に乗っている姿が目に飛び込んできた。



「た、泰良さま!!あなたはお嬢様に一体何をして……」


慌ててお2人に近付くと、泰良さまが仰向けの体位のまま私に顔を向ける。

ぷるぷると震え、その顔は半泣き状態。
まるで私に助けを求めるような表情をしているから、まさか……と疑問がうまれた。



「もう、せっかくいい雰囲気だったのに!周のせいでぶち壊れてしまったじゃない!」

「お、お嬢様……、あの、節度を持って接して頂かないと。えーと、今は何を?」

「何だっていいでしょう?私と泰良は恋人なのよ!」

「その、璃香子さまが、ケーキを食べるからそろそろ戻ってきて欲しいと仰ってます」

「そうだわ!ケーキね!」


と、華花お嬢様が目をキラキラと輝かせて手を合わせる。



「泰良、行きましょう?」

「先、食ってて……」


泰良さまは精気の抜けた様子で、ゴロンと体を向こう側に寝返った。



「どうしてよ?皆で大きなケーキを食べましょうよ!」

「いや、ちょっと俺の事はほっといて」

「えーー!?どうしてよ?泰良と一緒がいいわ!」



お嬢様と泰良さまの交際について、私は一生許さないし認めないと思います。

しかし、はじめて、彼に同情をしました──。






──少年に同情──
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