こいろり!



「泰良、おばあさまのお通夜に来てくれたでしょう?挨拶できなくてごめんなさい」

「いや、それは華花が大変だったんだから別に……」

「あの時、黒髪だったわよね?一時的に染めたのかしら?黒髪の泰良可愛かったわ!」

「…………あぁ?可愛いってなんだよ!?」




「仲が良いのね。華花、上がって貰いなさい」


声を荒げれば、クスクスと華花の母親が笑うからピンッと背筋が伸びた。





「お家《うち》の手伝いでケーキを届けてくれてるのね。いつもありがとう」

「……いえ」


美魔女の視線が痛い。席の向こう側に、華花と華花の母ちゃんが座っている。
はじめてこのリビングに入るわけじゃねーのに、異常なまでに緊張すんのは何でなのか。



「そうなの、璃香子の代わりに来てくれるようになったのよ!あ、璃香子、名字変わったのよね?泰良のお家《うち》に住むことになったのでしょう?今度、また遊びに………」

「華花、周にお茶の準備を頼んできてくれるかしら?」

「分かったわ、ママ!泰良、待っててね!」


華花が立ち上がってパタパタと駆けていくから、部屋に俺と美魔女が残された。


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