儚く甘い
みわの言葉を最後まで聞く前に、達哉は動き出していた。

「みわはここにいろ。動くなよ。俺が今持ってくるから。じっとしてろ」
振り返りながら言うと、ものすごい勢いで走りみわのリュックを探しに行く。

屋上に残されたみわは、大学の庭を必死に走っていく達哉の姿を目で追った。


本当にこれ以上距離を近付けてもいいのだろうか。
自分が死んだら、達哉がつらい思いをするだけだ。

悲しい思いをさせてしまうのは、家族だけでも十分すぎる。

むしろ、家族にだって悲しい思いもつらい思いもしてほしくないのが本心だ。

携帯電話のアラームを消して、みわは見えなくなった達哉の姿から、空へ視線を移した。
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