儚く甘い
「無理に大学に行かなくてもいいって、言ってるんだけど、みわはきかないから。」
母も兄たちも、みわが大学をやめれば今以上に張り合いがなくなり、症状が進行する可能性があるとわかっている。
『あと半年頑張れば、就職活動に向けた自由登校に切り替わるんだろ?それまでなんとか、行ける日だけでも学校に行かせてやりたいな。』
「・・・」
今までの頑張りを知っているからこそ、母も同じ気持ちだった。

『母さん、職場に相談したの?』
「うん。でも、どうしようかと思って。」
隆文と裕介、母は三人で話し合いをして、生活費やみわの治療費を隆文と裕介で負担するかわり、母に仕事をやめてみわのサポートをすることに決めた。
前から話していたこと。でも、そのタイミングになるまでに、覚悟が言った。

母が仕事をやめて、みわのサポートにまわるということは、みわの病気の進行が末期の状態になったと認めることでもある。
< 183 / 356 >

この作品をシェア

pagetop