儚く甘い
『ピピピッ…ピピピッ』
鳴り響く機械音は、操作を待って音量を上げていく。

風が冷たいからだろうか。
力を込めた手が震えている。

そんなことにも気づかないふりをして、冷たい風を体いっぱいに吸い込む。

力を更に込めて、自分の体を手すりの上にあげようとする。

うまくコントロールできなくて、簡単に元の場所に戻る体に思わずふっと笑ってしまう。

一度手すりを離して、自分の手をこすり合わせるみわ。
今度こそと、手すりを握り直して気合を入れて、体を再び手すりの上にあげようとすると、今度は簡単に体をあげることができた。
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