儚く甘い
少し疲れて来た体。

小さくため息をつきながら声をあげるのをやめて、達哉を見ていると、達哉が振り向かないままひらひらと手を振った。

恥ずかしそうに、顔の横で数回振って戻された達哉の手。

それでもみわはうれしかった。

「じゃあねー、達哉!また、大学で。」
再びあげた声にも、達哉は振り向かないまま立ち去って行った。



達哉が見えなくなってからすぐ、みわの隣にとまった高級外車。

みわは、笑顔をつくって車に乗り込むのだった。
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