儚く甘い
点滴中に付けられているバイタルを確認するモニターを見ながら、みわの頬に触れる。
「遠慮すんな、この時間が唯一お前の兄貴としていられる時間なんだから。」
「何言ってんのよ、ほかの時間だって十分、違う、それ以上に私にかけさせちゃってるのに。」
頬を膨らましたままのみわに優しく微笑みかけながら、その頬をつんとつつく。
「かわいいなーみわは。遠慮すんな。シスコンだから仕方ないだろ」
「もう・・・」
更に頬を膨らませるみわにも全く動じないのは、みわの兄、白石隆文。
みわとは8歳も年が離れている兄は、みわのことを溺愛してくれている。
「たか兄といい・・・ゆう兄といい・・」
みわにはもう一人兄がいる。
白石裕介。裕介はみわよりも6歳年上だ。
兄たちは歳の離れているみわを溺愛してくれていた。

「私のせいで二人とも結婚もできないじゃない。」
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