儚く甘い
隆文が去った公園のベンチに一人座りながら、達哉はしばらく風に揺れる桜を見つめてから、何度も深呼吸をして、手にしていた封筒を開けた。

『これがあなたへの最初で最後の手紙です。これからお願いすることは私のバケットリストの最後のリスト。それはあなたが愛する人と一緒に、あの公園の桜を見て、空を見上げながら微笑んでほしいということ。そして、リストの最後が終わったら私を懐かしい、少し甘くて少し切ない思い出に変えて、幸せな未来に向かって歩んでほしい。振り返らずに、前を見て進んでほしい。それが最後の私の願いです。』

達哉はあふれる涙を気にせず、手紙を読み進める。

『達哉に出会えて私はとってもとっても幸せでした。病気に支配されそうだった私の人生は、あなたと出会えて幸せな女の子の夢も願いも、希望も味わうことができました。本当にありがとう。ねぇ、達哉の今の人生はどんな人生ですか?』

どんな想いで、表情でみわがこの手紙を書いたのかを考えただけで心が痛み、すぐにでもみわを抱きしめたい衝動にかられる。
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