儚く甘い
「よくそんな甘ったるそうなの口に含めていられんな。」
そう言って達哉がみわの差し出した飴を受け取る代わりに、ポケットに入れていたガムをみわの手に乗せた。

「俺は断然こっち。」
みわは少し頬を膨らませてから、達哉が受け取らなかった飴を口に入れる。
「今度はりすか。」
ぱんぱんに膨らんだみわの頬を見て達哉が笑う。

達哉が笑ってくれると、なぜか心が温かくなるみわ。
思わずみわも笑ってしまう。

講義を聞きながらふと隣に視線を向けると、達哉はいつも真剣な顔で授業を受けていた。
屋上で煙草を吸いながら、講義をサボっているタイプの学生かと思っていたのに、達哉は違った。
< 63 / 356 >

この作品をシェア

pagetop