玉響なる風は、水とともに
「……何かの気配を感じた、んだけど……」

真冬の質問に、風音は眉を下げると疑問に思ったことを素直に話していく。

「……人間の気配でもないし、神様の気配でもないし、悪霊の気配でもないんだ」

どういうこと?、そう言いたげに首を傾げる葉月の様子を見た真冬は、少し考えたあとに口を開いた。

「つまり、風音が感じている気配が……そのどれにも当てはまらないってこと、かな……?」

「流石!そういうこと!」

「…………じゃあ、風音が感じてる気配は……一体何なの?」

真冬の説明に風音の言葉を理解した葉月は、素直に疑問に思ったことを口に出す。風音は分からない、と言わんばかりに黙り込んで俯いた。

「……待って……この気配、どこかで……」

しばらく俯いていた風音だが、どこかで感じたことのある気配だと気付き、顔を上げる。

「……そうだ!1週間前に、異世界で……この気配は、妖だ!!」

「妖って……あの?どうして、こんなところに……」

「分からない。行ってみよう!」

閉じた扇子を片手に持ちながら、風音はそう言うと2人の返事を待たずに走り出した。葉月と真冬は顔を見合わせると、風音の後を追って走る。

しばらく走っていると、近くにある運動公園の入口で風音は立ち止まった。
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