これはきっと、恋じゃない。

 翌日も、王子くんは休みだった。
 そしてその次の日も、3つ後ろの席は空白のまま。

「ど、どうしよう……」

 お昼休み、亜子ちゃんと並べた机に思わず突っ伏す。なんか胃の辺りがキリキリ痛いような気がしてきた。

「ねぇ千世、さすがに先生に相談した方がいいんじゃないの?」
「……でもさぁ、わたしが相談してペア変わるとかどこかに入れてもらうとかなったら、王子くんは1人でやることになるの?」
「の前に、発表する日ずらしてもらえばいいじゃん」

 ああ、たしかに。
 いやでも、そんなの良いのかな。

「自分たちだけ良いのかなって思ってる? しょうがないじゃん、向こうは仕事なんだし、千世は王子遥灯が来ないとなにもできないんだし」
「まぁね……」

 せめて連絡先さえわかればなぁ。

 連絡しようにも、王子くんはクラスのグループには入っていない。それもそうだ、そんなとこにいたら誰に流出するかわからないし。

「はぁ……」

 どうしよう。もう日にちは迫っているというのに。

「亜子ちゃんたちは、進んでる?」
「国だけ決めて各自でやってる。ほぼネット写してるだけだし」
「いいなぁ」
「意外な落とし穴よね。ペアになったらお近づきになれるかもしれないけど、来ないからやりづらいし」
「……ほんと」

 お近づきになんて、そんなこと思わないから、ただ学校に来て欲しい。
 それで、一緒にペアワークだけやってくれればそれでわたしは満足だ。

 ……本当に。

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