毎週水曜日は青空甘恋クレープ日和
4.出戻り男と眼鏡女子
「今週末の土曜ね、職場で催し事があってお休みじゃないの」

 この所、時間が合えば土曜の夜は我が家でおうちご飯をする様になっていた私達なんだけど。

 この土曜は勤め先の小学校で運動会がある。

 別に私自身が外へ出て駆け回る訳ではないけれど、本部席すぐ横に設営の来賓席(らいひんせき)へのお茶出しや、プログラムが予定通り進行しているかストップウォッチでタイムを測ったりしなきゃいけない。
 閉会後には児童らと一緒に後片付けだって待っている。

 きっと疲れまくって帰宅後は廃人。とてもじゃないけれどご飯を作るとか無理なはず。

 外での催事なので雨で順延になる可能性はあるけれど、どうなるか分からない以上、一応動けない前提で彰久(あきひさ)さんにお話しておかなきゃって思った。

 例によって水曜の夕方。
 彰久さんのお店で買ったクレープを閉店時間頃に受け取りに行って。
 照子おばあちゃんがアルンでお買い物をしている間、店舗入口のベンチに腰掛けて彰久さんと束の間の逢瀬。

「その日は俺も丁度予定が入ってっから実迦(みか)ちゃんに言わなきゃって思ってたんだ。お互い同じ日に用があるなんてすっげぇ縁を感じね?」

 申し訳なさに眉根を寄せて言ったら、期せずして彰久さんからもそんな返事。
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