毎週水曜日は青空甘恋クレープ日和
5.今はまだ違うけど*
「大丈夫?」
「うん、……ありがとう」
窓ガラスも割れてしまったし、何より怖くてあのままアパートにはいられなくて。
「ごめんね」
「実迦ちゃんが謝る必要は微塵もないだろ?」
警察の事情聴取や実況見分が済んだ後、彰久さんは私を、六階建てマンションの最上階にある自宅へ招待してくれた。
でも――。
「私、ここにいても……いいの?」
3DKの部屋の中には小さな女の子が好みそうなぬいぐるみや人形、それから塗り絵や色鉛筆が置いてあって。
明らかに私が居てはいけない場所だと感じてしまった。
「お嬢さんと奥さんに……迷惑掛けらんない」
「実迦ちゃん、やっぱ勘違いしてる。あの時一緒にいたのは俺の兄貴の嫁さんだよ」
「お兄……さん、の?」
「ああ、三個上のな」
それにしては親しげに見えたし、現にこの部屋には明らかに小さな女の子が頻繁に出入りしている気配がある。
「まぁ義理の姉にしちゃ、馴れ馴れしかったと思うし……勘違いさせるような事させちまったのは悪いと思ってる」
そこで彰久さんは小さく吐息を落とすと、「穂乃は……幼馴染みなんだ」とつぶやいた。
「おさな、なじ、み?」
「実際好きかも?って思ってた時期もある。けど……アイツは昔から兄貴しか見てなかったし、俺もそんなに執着してたわけじゃねぇ。アイツが兄貴と結婚するってなった時も全然ショックじゃなかったしな。その程度の曖昧なもんだから安心して? ただ――」
そこで言葉を区切ると、彰久さんが私をじっと見つめて来る。
「うん、……ありがとう」
窓ガラスも割れてしまったし、何より怖くてあのままアパートにはいられなくて。
「ごめんね」
「実迦ちゃんが謝る必要は微塵もないだろ?」
警察の事情聴取や実況見分が済んだ後、彰久さんは私を、六階建てマンションの最上階にある自宅へ招待してくれた。
でも――。
「私、ここにいても……いいの?」
3DKの部屋の中には小さな女の子が好みそうなぬいぐるみや人形、それから塗り絵や色鉛筆が置いてあって。
明らかに私が居てはいけない場所だと感じてしまった。
「お嬢さんと奥さんに……迷惑掛けらんない」
「実迦ちゃん、やっぱ勘違いしてる。あの時一緒にいたのは俺の兄貴の嫁さんだよ」
「お兄……さん、の?」
「ああ、三個上のな」
それにしては親しげに見えたし、現にこの部屋には明らかに小さな女の子が頻繁に出入りしている気配がある。
「まぁ義理の姉にしちゃ、馴れ馴れしかったと思うし……勘違いさせるような事させちまったのは悪いと思ってる」
そこで彰久さんは小さく吐息を落とすと、「穂乃は……幼馴染みなんだ」とつぶやいた。
「おさな、なじ、み?」
「実際好きかも?って思ってた時期もある。けど……アイツは昔から兄貴しか見てなかったし、俺もそんなに執着してたわけじゃねぇ。アイツが兄貴と結婚するってなった時も全然ショックじゃなかったしな。その程度の曖昧なもんだから安心して? ただ――」
そこで言葉を区切ると、彰久さんが私をじっと見つめて来る。