好きだけど、好きなのに、好きだから
アップが終わって、次は一年生の紅白戦だ。

「先生、椅子こちらに置きますね」

藤森北高校バスケット部監督。

庄司先生。

うちの学校に来て二年目だ。

「優里愛くん」

「はい」

先生が、私を隣に呼んだ。

「佐伯と話した?」

あっ、そう言われると……

一言も言葉を交わしていないことに気付く。

「いいえ、まだ」

そう言って、先生も私もコートに目を向ける。

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