好きだけど、好きなのに、好きだから
佐伯君のダンクシュートが決まる。

湧く上級生達。

小柄な子が多い新入生の中で、佐伯君は一段と目立っている。

そして、実力も頭一つ抜けていた。

先生は、目を細めて満足気に話し始めた。

「次の大会、佐伯をスタメンで使う予定だから」

その表情を見ると、佐伯君の実力が予想以上だったのだろうと感じた。

「馴染めるように、目をかけてやってくれ」

「はい」

「特にスタメンのメンバーと」

「はい……」

特にスタメンのメンバーと……かぁ。

私の視線の先には、誠。

練習前の二人のやり取りを思い出すと、気が重い。
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