華夏の煌き
 まさか母ではあるまいなと考えるが、彼女は身体はいたって健康だった。もちろん慶明の薬の効能も大きい。出産時に夫人の身に何かあるのではないかと心配になってきた。その気持ちを察したのか「大丈夫よ。命には関係ないと思うから」と晶鈴が笑顔を見せた。

「そうか。それなら。別離つきものだからな」

 ほっとした慶明は「さて、そろそろ」と腰を上げる。

「お疲れ様。自分のことも養生してね。ちょっと働きすぎじゃない?」
「ははっ。それは大丈夫だ。強壮剤を飲んでいるからな」
「まったく薬ばっかりに頼っちゃって」
「それが仕事だからな。じゃあ、また」
「またね」

 いつもと何も変わらないと思う晶鈴を眺めると、慶明は安心した心持になる。もう少し着飾れば、後宮入りもできそうなのになと素朴な彼女と、彼女そのもののような質素な住まいを後にした。
 


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