華夏の煌き
「ねえあなた。晶鈴さんもお住まいを探しているのですって」
「ああ、そのことだが。町の外に大きな空き家があるらしい」
「まあ大きいほうがいいわよね。町の中じゃ窯も焚けないし」
「うん。都合は良いんだが少しばかり金が足りないのだ」
「そうなのね……」

 2人の話を聞きながら、晶鈴は「あのー」と声をかける。

「その家は、部屋数は多いのかしら」
「2家族住んでいたようだから、部屋数も広さもある」
「私もそこへ住まわせてもらえないかしら。不足分を支払うから」
「え? し、しかし……」

 突然の提案に、もちろん朱彰浩は戸惑う。妻の京湖が明るく「いいんじゃないかしら」と夫の手を取った。

「晶鈴さんもお子が生まれるし、ここに着いたばかりみたいなの。私たちとおなじだわ」

 朱彰浩は勿論警戒している。会ったその日に一緒に住もうというのだから当然だと晶鈴も思うし、自分もなぜそんなことを言い出したのかわからない。

「あの、これを」

 晶鈴は身分証ともいえる通行手形を見せる。

「読めるかしら?」
「ああ、大丈夫だ」

 朱彰浩は手形を見て、頷いた後、京湖にも見せる。

「すごいのね」

 嬉しそうに言う彼女に「いえ、『元』だから」と、恥ずかしそうに言いながら、そうだとまた陸慶明の札も見せる。

「これがあると薬屋と役所に融通が利くと思う」
「ふーむ」
「あなた、こんなにすごい方と出会えるなんて何かの縁よ」

 慶明のおかげでさらに晶鈴の株が上がる。

「もっと私のこと、話したほうがいいかしら……」

 どうしてここにいるのか、子供の父親は誰かなのど疑問に思われることは多いだろう。

「いや、いい。妻がこんなに親しみを覚える人も早々にいないだろう。怪しんですまなかった」
「当然のことだと思うわ」

 こうして3人は共同生活を行うことになった。 

22 穏やかな日々
 晶鈴は身支度をすると町へ行き占いをする。客は2,3日に一人くらいだった。それでも十分な稼ぎとなった。辺境の町の占い師は、来た時に観てもらった金髪碧眼のカード使いと、小麦色の肌と灰色の髪をもちサイコロを振るもの、赤茶けた波打つ髪を持つ青白い顔色の振り子占い師と、流雲石をつかう晶鈴の4人だ。
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