これが恋じゃないとしても
エピローグ(今西side)
職場の飲み会で突然、初恋の女の子はどんな人だったのかという話題になった。

俺にとっての初恋が誰だったのかは、正直なところ、よくわからない。

幼い頃に気になっていた子なのか、初めて付き合った彼女なのか。

だけど、俺にはその子たち以上に、忘れられない女の子がいる。

男勝りな性格で、見た目もボーイッシュで、よく見ると、とても綺麗な顔立ちなのに、全くそのことに気がついていない。

言葉は乱暴だし、キツい性格だけど、言っていることは正論で。

孤立しても平然としている、とても強い少女。

だから、ひ弱な俺は、自分にないものを持った彼女を慕っていた。

しかし、普段着の彼女を知ることが出来ぬまま卒業し、上京した彼女とは一度も再会できたことがない。

もしかしたら、普段着の彼女には、とても繊細な顔もあったのだろうか。

あの頃、そんなことは考えもしなかったな…。

今、どうしているのだろう?

なんだか男嫌いみたいだったし、同性と恋に落ちたりしたのだろうか?

それとも、素敵なレディになっているのだろうか?

今の彼女に会いたいけれど、記憶はあの頃の、男の子のような彼女のままにしておきたい気もする。

だけど…もし、もう一度巡り合うことができたなら…その時までに、情けない男は卒業したいと思う。

彼女へのとても強い想いが、たとえ恋じゃないとしても、誰よりもいちばん大切な人だったから…。



Fin
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