アンドロイド・ニューワールドⅡ
…時は流れ、数時間後。

パンケーキを二人で堪能した碧衣さんと紺奈局長も、喫茶店を後にし。

文化祭も、残すところ僅かとなりました。

キッチンから聞こえてくる声からして、いくつかのメニューは既に品切れ状態になり。

ホールの方も静かですので、お客さんはもう残っていないものと思われます。

文化祭も、もうおしまいですね。

そして、こちらの空き教室でも。

「ふぅ…。終わったね」

「はい。ご苦労様でした、奏さん」

「それはこっちの台詞だよ。瑠璃華さん、お疲れ様」

と、奏さんは言いました。

会計の仕事も、少し早いですが、やり遂げることが出来ました。

「意外と早かったですね」

「うん。今年は瑠璃華さんが手伝ってくれたから…。早く済んだよ」

と、奏さんは言いました。

やはり、一人でやるのと、二人でやるのとでは、効率が段違いですね。

しかし。

「…はぁ…」

と、奏さんは溜め息をつきました。

何だか、とても浮かない顔ですね。

大丈夫でしょうか。

「どうしましたか、奏さん。お疲れですか?チョコミントのアロマオイルをセットしましょうか?」

「あ、いやそれは遠慮しておく」

と、奏さんは素早く拒否しました。

何故でしょう。

「では、どうかしましたか?」

「いや…。今更言っても詮無いけど、結局瑠璃華さん、全然文化祭楽しめなかったなって…」

「…」

と、私は思わず無言になりました。

楽しめなかった?

そうなのでしょうか。

私としては、今日はそれなりに、充実した一日でしたが。

奏さん目線からすると、楽しそうに見えなかったのかもしれません。

「折角、初めての文化祭だったのに…」

と、奏さんは、いかにも残念そうに言いました。

何故私のことで、奏さんが落ち込んでいるのか、理解不能です。
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