アンドロイド・ニューワールドⅡ
奏さんと会うのは、およそ5日ぶりですね。

彼の顔を見ると、何だか胸のチクチクが取れた気がします。

これも、感情の発露なのでしょうか?

「どうしたの?瑠璃華さん。一週間休むんじゃなかったの?」

と、奏さんは聞きました。

「その予定だったのですが、メンテナンスが早めに終わりましたので、早めに不登校明けしました」

「ふ…不登校ではないけどね…。まぁ…早く帰ってきてくれて良かった」

と、奏さんは笑顔で言いました。

…。

「…寂しかったですか?」

「えっ?」

「私に会えず、寂しかったですか?」

と、私は聞きました。

「いや、それは、えっと…。べ、別に…そんな、ことは」

「寂しくなかったんですか?」

「そ、それは!さ、寂しく…なかったと言えば、嘘になる、かな…」

と、奏さんは目を泳がせながら言いました。

そうですか。

何だか、言葉が途切れ途切れなのが気になりますが。

「る、瑠璃華さんはどうだったの?寂しくは…なかった?やっぱり…」

「胸がチクチクしました」

「は?」

と、奏さんはポカンとしていました。

「胸がチクチクしていました。今奏さんに会って、解消されました。これは感情の発露だそうです」

「…は、はぁ…」

「不思議ですね」

「う、うん…。俺も不思議だよ…」

と、奏さんは言いました。

「…とにもかくにも…帰ってきてくれて良かった」

「はい。恥ずかしながら帰って参りました」

「はい。お帰りなさい」

と、奏さんは言いました。

それと同時に、私の胸の奥のチクチクが、完全に取れました。

喉に引っかかっていた魚の骨か、取れた気分です。

魚の骨が喉に引っ掛かった経験は、私にはありませんが。
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