アンドロイド・ニューワールドⅡ
「そうだ、瑠璃華さん。聞いた?」

と、奏さんは尋ねました。

「何をですか?」

「今日から、中等部に編入生が来るんだって」

と、奏さんは言いました。

…ん?

それって、もしかして。

「昨日、手続きの為に学校に来てたらしいよ。凄い美人だって噂」

と、奏さんは教えてくれました。

その編入生というのは、もしや…。

「琥珀さんのことですか?」

と、私は尋ねました。

「え?そんな名前なの?名前までは聞いてないんだけど」

「彼女は私や碧衣さんと同じ、『新世界アンドロイド』です」

と、私は言いました。

勝手に伝えて良かったのでしょうか。言ってしまってからちょっと後悔しました。

が、既に言ってしまったので、後の祭りですね。

「え。その子、瑠璃華さんの知り合いなんだ」

と、奏さんはびっくりしたように言いました。

「はい。所属する局は違いますが」

「へぇ…。じゃあ瑠璃華さんの…従姉妹なのかな」

と、奏さんは言いました。

碧衣さんのことも、従兄弟と呼んでいましたからね、奏さんは。

奏さんルールに従うと、琥珀さんも従姉妹になるのでしょう。

あながち間違ってはいません。

「皆、今はその転入生の話で持ちきりだよ」

「そうなのですね」

「そっか。瑠璃華さんの従姉妹だったのか…凄い偶然だな」

と、奏さんは言いました。

「琥珀さんのことが、気になりますか?」

と、私は尋ねました。

他のクラスメイトのように、奏さんも琥珀さんが気になるのでしょうか。

しかし。

「いいや、別に。どんなに美人だろうと賢かろうと、瑠璃華さんほどじゃないって分かってるから」

と、奏さんは笑顔で言いました。

…?

どういう意味でしょうか?

気になりましたが、奏さんはにこにこしているだけでした。
< 278 / 467 >

この作品をシェア

pagetop