アンドロイド・ニューワールドⅡ
人生初、カレーショップです。

店内に入るなり、独特な刺激臭を感じました。

これが、スパイスの匂いというものなのでしょうか。

とても興味深いです。

「瑠璃華さん、どれにする?」

と、奏さんはメニュー表を指差して聞きました。

メニュー表には、ずらりと様々な種類のカレーの写真と名前が並んでいます。

どれも似たような写真ですが、微妙に中の具が違っています。

ビーフやチキンや、トンカツが乗ったカレーの他。

ゴロゴロと野菜の入ったカレーや、少し変化球で、カレーうどん、カレースープまであります。

「ふむ…。どれも興味をそそりますね」

「うん、どれも美味しいと思うよ」

「奏さんはどれにするんですか?」

と、私は参考までに尋ねました。

「そうだな…。じゃあ、俺は夏野菜カレー並にしよう」

と、奏さんは言いました。

ヘルシーですね。

「奏さんは、ただでさえ体脂肪率も低いことですし、もっとガッツリ食べられては?」

「え?でも…。あんまり食べたら胃にもたれるし…」

「成程、分かりました。では奏さんの代わりに、せめて私がガッツリ食べましょう」

と、私は言いました。

そして、再度メニュー表を眺め、注文する商品を決定しました。

「では私はこの、メンチ、チキン、トンカツ豪華三種盛りビーフカレーにしますね」

「…重っ…」

「それを特盛で」

「更に重っ…」

と、奏さんは呟きました。

「瑠璃華さん、そんなに食べられるの?」

「『新世界アンドロイド』は、空腹感も満腹感も感じませんから。問題ありません」

「そ、そう…?じゃあ、辛さはどうしよう?」

と、奏さんは尋ねました。

辛さ?

「辛さとは、どういう意味ですか?」

「あ、うん。自分の好きな辛さに変えられるんだよ。普通の辛さから、えーと…ほら、十段階から選べるんだ」

と、奏さんはメニュー表を指差しながら言いました。

確かに、辛さのレベルが選べるようになっています。

最高が10辛だそうです。

これは興味深い仕組みですね。

これで、辛いのが苦手な人、得意な人がそれぞれ、好みの辛さを選べるという訳です。

とても良心的なシステムだと思います。
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