アンドロイド・ニューワールドⅡ
奏さんのオレンジジュースが効いたのか、それとも私の自己治癒能力が仕事をしたのか。

その後、図書館に戻る頃には。

「口の中の痺れが取れました」

「あぁ、良かった…。一時はどうなることかと思ったよ」

「それは、ご心配をおかけしました」

と、私は言いました。

「ううん…良かった、瑠璃華さんが無事なら、それで」

と、奏さんは笑顔で言いました。

とても広い心の持ち主です。

奏さんのご厚意に、何かお返しが出来ないものでしょうか。

そうだ、良いことを思いつきました。

「…では、ご迷惑をお掛けしたお詫びに、『猿でも分かる!』シリーズの一番のおすすめを奏さんに…」

「あ、いやそれは結構だから。宿題教えてもらって良い?」

「…分かりました…」

「…瑠璃華さん、今凄く残念そうな顔してるよ…」

と、奏さんは言いました。

私には感情がないので、そのような表情の変化があるはずはないのですが…。
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