望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 レイモンドの前にすっぽりとはまるカレン。

「では、いってくる」
 レイモンドが手綱をとると、馬はカポカポとゆっくりと動き出した。カレンの生まれ育ったという家は、ここから馬で丸一日かかるらしい。この丸一日とは休憩をとらないで移動した場合。馬には回復の魔法をかければいいので、あとはレイモンド次第なのだが。

「一日くらい寝なくても平気だ。カレン、君は疲れた時は私に寄り掛かって休むがいい」

 とのことだったので、その言葉に甘えることにした。できれば早めに移動を終えたい、というのが本音。
 日が暮れる頃、目の前にうっそうとした森が現れた。この森を半日程度抜けるとカレンの育った家と思われるものがある。

「どうする? 夜が明けるのを待つか?」

 カレンの頭の上からレイモンドの声が降ってきた。

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