望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
20.謁見
 どうやら謁見の間と呼ばれる部屋らしい。目の前には王妃殿下と呼ばれる女性がいるけれど、カレンは立ち尽くすことしかできない。

「挨拶の仕方もわからないのね」

 目の前の傲慢な女性から、その言葉をかけられた。

「申し訳ございません。何しろカレン様は、こちらに着いたばかりでして」

 頭を下げながらそんな言い訳をしているのは、あの男。

「まあ、いいわ。あなた、カレンっていうのね。嫌なくらい、あの人に似ている」
 そのあの人が誰であるか、カレンにはわからない。

「あなたには、一年後にローゼンフェルドに嫁いでもらうわ。それまでに一通りの作法を覚えなさい。私が言いたいのはそれだけ。もう、下がっていいわ。あなたの顔はもう見たくないから」

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