望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「ありがとう」

 カレンは今、王太子夫妻の寝室に侵入しようとしていた。浮遊の魔法でふんわりとあがってくることもできなくはなかったが、これから起こることを考えると、魔力は温存しておきたい。だから、このロバートのさりげないサポートが有難かった。

「ロバートさん。もし、ご存知でしたら教えてください」
 そのバルコニーの隅で、カレンは尋ねる。
「王太子は、姉のことを愛しているのでしょうか」

 その質問に返ってきた答えは、否、だった。
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