望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
「ロバート」
 カレンの後ろに控えていた彼は、素早く奥へと入り込み、その男を捉えた。それと同時に廊下が騒がしい。先ほどのかな切り声を聞きつけたのだろう。

「妃殿下、失礼します」

 その扉を開け、中に入ってきたのは数人の騎士達。もちろん、ローゼンフェルドの騎士ではない。ダレンバーナからやって来た、ダレンバーナの騎士。

「早く、その者たちを捕らえなさい」
 裸のまま、ベッドの上で指示をする姉。

「侵入者。王太子妃殿下と知っての狼藉か」

「ロバート」
 カレンがその名を呼ぶと、彼は男を解放し、素早くカレンの背後へと戻った。情けないのはその男。騎士たちの間を縫うようにして、その場を去っていく。一体この姉は、どこの男を誑し込んだのか。

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