望まれぬ花嫁は祖国に復讐を誓う
 コンコンコンとドアをノックされた。返事をすると、十二、三歳くらいの少年が部屋へと入ってきた。

「お初にお目にかかります。僕は、アドニス・ジェルミーです。レイモンドの弟です」

「お初にお目にかかります。カレン・ダレンバーナです」
 王宮に引き取られた後、カレンは挨拶を叩きこまれた。その甲斐があってか、挨拶だけはなんとか様になっている。

「少し、義姉(ねえ)さんとお話をしたいのですが。今、お時間の方はよろしいでしょうか」

「はい。ですが」
 カレンが言葉を続けようとすると、アドニスはおどけたように首を傾けた。

「その、後ろの手で隠していらっしゃる物騒なものを、片付けていただけると助かります」

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