舞台の上で輝いて

余計にドキドキしちゃった。
1番最初の時みたいにまたしても言葉が出てこない。

クスッと笑ってから私の両手を優しく包んで更に続ける。
「香織ちゃんのオデットが人間に戻れる様に全身でオデットを愛しぬく。
今この瞬間のドキドキした気持ちも含めて、自分の持てる全てを出してジークフリートを演じる。
2人の愛の力を皆んなに示そう。」

結城さんの言葉の1つひとつが胸に染み入る。
結城さんを好きなこの気持ちをオデットの気持ちと重ねて、これが本番だと思って私も全身全霊をかけてオデットを演じ切ろう。

「はい。」
それしか言えなかったけど、そのひと言には万感の想いが詰まっている。
目に力を込めて、今の自分の想いが露わになっている顔を結城さんにまっすぐに向けて。

視線があった時に私の想いが伝わった事が分かった。
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