舞台の上で輝いて

拍手が収まった所で、皆んなの前で芸術監督が話し始めた。

「2ヶ月前にこのペアの貼り紙を出した時はみんなも驚いた事だと思う。
でも、芸術監督として普段のレッスンやリハーサルとかを見ていて、橘さんの可能性に気が付いたんだ。
群舞をやっていても、得てして埋もれてしまって目立たない。でも動きの1つひとつには光るものがある。
音の取り方もセンスがある。
何かちょっと刺激を与えたら大化けするかもしれない、宝石の原石かもしれないと思った。
結城君と踊らせてみたら凄い化学反応が起こるのではと考えて決定した。
僕にとってはもの凄い挑戦だった。
だけど、今日、この初めての通しのリハーサルを観て、自分の考えが正しかった事が分かった。
観ていたから皆んなにも伝わったと思う。
次の通しまで。各々更なる努力をして、より一層完成された作品を一緒に作っていこう。
今日は、以上。
これまで。お疲れ様。解散。」

そう言って芸術監督は私に笑顔を向けて、一回大きく頷いてからスタジオを後にした。
芸術監督さんがそんな風に私の事を考えていてくれたなんて。
群舞しか踊った事のない私を信じて任せてくれた。
こんなに素晴らしい経験をする機会を与えてくれた。
感謝の気持ちを瞳に込めて、スタジオを後にする芸術監督の背中を見送った。
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