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入れ替わり
金曜日。


店には、週に一度来るか来ないかの永倉さんは、一昨日も来たばかりなのに、今夜も来ていた。


一昨日、蒼君の事で永倉さんと初めて話したけど、怖かったので、今日はなるべく関わらないようにその存在を避けた。


そして、閉店後の今。


「は?
そんなアフター断ればいいだろ?」


スタッフルームの近くで、うちのナンバーワンキャバ嬢のアヤノさんと、ちょっと揉めている。


その場面を見て、やはり二人の関係はそうなんだな、と思う。


付き合ってはないと思うけど、
この二人、絶対に体の関係がある。


風紀で罰金ものだけど、この人達にそれを言える人は、この店に居ないだろうな。


「ダメ。
永倉さんも、この店の本当の管理者なんだから、そんなワガママ言わないで下さいね。
剛田会長は太客なんだから、その誘いを断れるわけないでしょ?」


「なら、お前は、俺の誘いは断われんのか?」


「もう。
そんな子供みたいな事言わないでよ」


その瞬間、アヤノさんは永倉さんの首筋に腕を回して引き寄せると、そっとキスをした。


永倉さんは、納得はしてないが、
それ以上はアヤノさんに言い返さない。


「じゃあ、剛田会長が待っているから、私は失礼します」


そう言って、こちらに歩いて来たアヤノさん。


私は今来て、二人のキスなんて見てないというように、
普通に、お疲れ様です、と挨拶をした。


「紫織ちゃん。お疲れ様」


そう言って去って行く、この店のナンバーワンキャバ嬢。


ヤクザの永倉さんも、そんなアヤノさんには、強くは言えないみたい。


「なぁ、お前」


突然、永倉さんは私に視線を向けた。


「あ、はい!」


相変わらず、永倉さんは怖くて、妙に緊張してしまう。


「お前、今日アフターあんのか?」


「え、はい。
今から、今日新規で私を指名してくれた方と」


「それ、断れ」


「え?」


「適当な理由付けて、断っておけ。
車で待ってるから、さっさと来い」


永倉さんは一方的にそう言うと、
私の横を通り過ぎ、店の外へと出て行った。


えっと…。


どうしよう。


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