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その施設は、元々私が住んでいた市の隣の市にあり、
場所が近いからか、そうやって新しく変わった中学校でも、私の父親があの殺人事件の犯人だと、すぐに知れ渡り。


みんな、私を避けていた。


いじめなんかに遭う事もないくらいに、
私に関わったらマズいと、みんな私を避けていた。


同じように、その施設でも、それは周りに知られ。


ただ、学校よりかは、その施設の方が、私がそうやって避けられたりする事はなかった。


少し距離を保とうとしながらも、
みんな私に話し掛けてくれた。


施設では、みんな多かれ少なかれ親に対して問題を抱えている子が多くて。


親が殺人犯のあの子よりかはまだ自分はマシだな、と、そうやって同情してくれているのが分かった。


そして、蒼君は他の子達とは違った。


そんな私に、他の子と別け隔てなく接してくれて。


少ししたら、私達は、誰から見ても特別に仲の良い関係になっていた。


あの頃の、私と蒼君との関係は、何だったのだろうか?


付き合っては無かったけど、
お互いに、好きだと気持ちを伝えていて、
体も何度も重ねていて。


"ーーじゃあ、未希が高校を卒業する頃には、
俺も向こうでちゃんと家借りれるくらい稼いで貯金もしておくから。
だから、俺が迎えに来る迄待っててーー"

そう言ってくれた事だって、あったのに。



蒼君の言うように、あの頃は若かったから、なのか。


私も若かったから、そうやって一人だけ私に優しく接してくれた蒼君を、好きになったのかもしれない。


今なら、そうやってちょっと優しくされたくらいで、好きにならなかったかもしれない。


そうか。


若かったからなのかな。


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