赤い糸~For you~
学校が終わって、誰もいない教室。



『もう卒業かあ。』



そっと呟いたコトバも…



今はもう…長い廊下に吸い込まれるように消えていく。



『明日で、この教室とも…クラスのみんなともお別れだなあ』



この三年の間に起きた事が蘇ってくる。



寂しくなるけど…



今の私には先輩がいるから、乗り越えられるよ。



「あっ!志帆ここにいたの!?探したんだからあ」



ドアの方を見ると、肩で息をしながら美仔が立っている。



『どうしたの!?何かあった?』



「何もないよ。ただ、最後でしょ?二人で…この教室で話せるの。」



そっか。



最後なんだあ…



「明日もあるんだけど、志帆はどうせ先輩にとられるだろうしね。」



美仔がニコッと笑う。



美仔とは、卒業しても親友。



それは変わらない。



『美仔…。卒業しても、親友でいてね?』



「当たり前じゃん!」



二人で笑いあった。



窓の外が暗くなって来て、二人で帰った。



二人で帰るのも、コレが最後だね…



一瞬一瞬を大事に。



ココロに残していく。








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