結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
 凛音は龍一を見つめて、言った。

「私のお母さんも龍一さんのお母さんも、こんなふうに大変な思いをして産んでくれたんですよね。そのおかげで私は今、こんなにも大きな幸福に包まれている」

 産んでくれてありがとう。

 生きている間に一度くらい伝えておけばよかったと、今さら後悔する。

(退院したら、この子を連れてお墓参りに行こう)

「そういえば、この子の名前はどうしましょうか?」

 ふたりで候補はたくさんあげたのだが、悩みすぎて決定できないうちに出産の日を迎えてしまった。

「この子の顔を見たとき、一番しっくりきたのは……海里(かいり)かな」
「一番に候補にあがった名前ですね。うん、たしかに……海里」

 その力強い響きは、小さい身体で大きな産声をあげていた彼にぴったりだと思った。

「いい名前。今日から君は海里だよ」

 凛音は海里の頭をそっと撫で、告げた。

「凛音とはずっと家族だったけど、これからは海里と三人で新しい家庭を築いていくんだな」
「はい、素敵な家庭にしましょうね!」

 義兄妹から夫婦、そして父親と母親へ。少しずつ形を変ながら、この愛は深まっていくことだろう。

「末永くよろしく。最愛の……俺の奥さん」

 龍一はささやくように言って、凛音の頬にキスをした。

                            END
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