結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
「言葉をおろそかにするなと言った。証拠が残らないからと、発言に責任を持たない人間は大成しない」

 彼の発言の意図するところがわからず、凛音は黙って続きを待つ。

「一度口に出した言葉はそう簡単には撤回できないものだ」

 龍一はぐっと凛音との距離をつめ、長い指で彼女の顎をすくう。艶のある声が凛音の脳に直接響く。

「責任を、取ってもらうぞ」
 
 龍一は凛音の手を引き、地下の駐車場へと向かう。

 いつもの彼なら凛音の仕事やこのあとの予定を確認するところなのだろうが、今日は有無を言わせずといった態度だった。無言のまま凛音を助手席に押し込み、車を走らせる。

 怖いくらいに真剣な顔でハンドルを握る彼を見て、凛音はぎゅっと身体をこわばらせた。

(私の願いを聞き入れてくれるって思っていいのかな? うれしいのか、怖いのか、自分の感情がよくわからない……)

 どこへ向かうつもりなのだろう。

 車窓を流れていく景色から判断するに、自宅のある松濤ではなさそうだが。

 凛音の心を読んだかのように、龍一はふっと頬を緩めて聞く。

「どこへ行くかわかるか?」
「えっと……あっ」
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