結ばれないはずが、冷徹御曹司の独占愛で赤ちゃんを授かりました
 せめて思い出が欲しかった。長い間、彼に恋こがれていた気持ちを葬るための儀式が凛音には必要だ。

(だって、もう思うことすら許されなくなるのでしょう?)

 彼を思うこと。それだけが凛音が生きる目的だったのに。

 ちょうどそのとき、終業を知らせるベルが鳴った。それはまるで警鐘のように、凛音に告げるのだ。

――止まれ。これ以上は進むな。

(そのとおりね。私たちは……義理とはいえ兄妹なのだから)
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