こぼれ落ちて広がった、苦くて甘い恋心。
朝から降り続けて止む気配のない雨は、まるで今の私の心を表しているようだった。

叶わない恋をしてしまって、それを捨てることも出来ず、未練がましく少しの希望を抱いてしまっている。そんな自分に嫌悪感を感じてしかたない。

いっそこの雨が私の心の汚れも流してしまえばいいのに、と自虐気味に笑って傘もささずに校舎を出て空を見上げる。

(お願いします、神様。)

明日はきっと、この恋心を捨てていられますように。そう祈りながら、濡れて重い服も重い感情も気付かないふりをして一人で帰路を辿った。
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