天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 ミリエラの身体を、他の人には見えない銀の靄(もや)のようなものが包み込む。

 これは、ミリエラの持つマナだ。そして、周囲をふわふわと漂っていた金の霞が、ミリエラの動きに合わせて錬金釜の中に吸い込まれていく。これは、空気中に漂うマナ。

 ストロベリーピンクの髪を両耳の上で束ねたミリエラの額に汗が滲(にじ)み始める。

 錬金釜の側はとても暑いし、マナの注入には集中力が必要だ。多すぎても、少なすぎても失敗してしまう。

(……あれ?)

 炎の中、なにかがちらちらとしているような気がした。炎が波打っていると言えばいいのだろうか。普通、炎はこんな揺れ方はしない。

 けれど、それは一瞬の揺らめき。すぐに消えてしまった。

(おっかしいな、スイッチは切ってるはずなんだけど)

 今のは、精霊がミリエラに合図を送っていたような気がする。

 前世の記憶を持って生まれたミリエラであるが、それだけではなく、特別な能力をも持っている。それは〝精霊眼〟と呼ばれる特殊な目であった。

 この世界に精霊は存在しているし、皆その存在を信じているが、普通では見ることができない。

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