天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 父がミリエラに手を差し出し、「俺も!」とついて来ようとしたカークは、オーランドに引き戻された。

「お前は、剣術の稽古。ほら行くぞ」
「えー」

 後ろからそんな会話が聞こえてきたけれど、「えー」と言いつつもカークは楽しそうだ。最近のカークは、ますます剣術に熱中している気がする。

(たぶん、パパもなにか話したいことがあるんだろうなー)

 そうでなければ、オーランドがカークを連れて去ることはないだろう。手を繋いで、父と庭園を歩く。

 まだ暑いけれど、吹き抜ける風には、秋の色が混ざっているような気がする。繋いだ手は温かくて、並んで歩いているだけでも幸せだ。

「──パパ、この間の王妃様、楽しそうでよかったね。でも、ライも錬金術師になりたいって言ったら、どうしよう?」

 いつ、プレゼントを渡せばいいかわからなかったから、まったく関係のない話から始めた。

 先日領地を訪れた時の様子を見ていると、そう言い出してもおかしくない気がする。ミリエラの心配に、父はくすりと笑った。

「そうなったら、どうするのがいいか皆で考えよう。錬金術師と王族と両立している人が目の前にいるんだからね」

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