私たちはこの教室から卒業する。
 卒業式の日。
 
 僕はとても迷って、迷いすぎたけど、葵に打ち明けることにした。

 式が始まるまで少し時間があったから、人が少ない廊下に葵を呼び出した。

 まずは先生から聞いた話から始めた。
 葵の夢の中に出てくる人は、今の僕達と同じ歳に病気で亡くなってしまった、幽霊だという事。その幽霊に葵が連れていかれてしまうのが嫌で毎日見守っていた事。彼が生きている時に大切にしていたものが教卓の中に貼り付けられていて、葵が夢を見なくなったのは、それを僕が家に持ち帰ったからだと言う事。

 そして、僕の夢の中に現れて、今日、卒業式に連れてってとお願いをされた事も全部。

「えっ? 全部知っていたよ! 和真の夢の中に現れたって事以外は」

 彼女は言った。何を今更言っているの? って表情をしながら。

「えっ? なんで?」

 僕は聞き返した。

「葵! みんなで写真撮ろ!」

「あっ、うん! 和真ごめん! また後で」

 えーー??

 気になっている状態のまま卒業式が始まった。
 
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