私たちはこの教室から卒業する。
 あれから、葵が教室で眠る事はなくなった。

 けれど放課後、相変わらず一緒に教室にいる。一緒にいたいから。今までと違うのは、葵が起きているという事。彼女と僕は変わらずに今までと同じ席に座っている。席替えをして、もう隣同士ではないのに、一番窓側の席に葵が座り、僕はその隣に。

 葵の夢の中に登場していた彼の代わりに、僕が今、彼女の話し相手になっている感じだ。

 ――もしも彼が、葵の夢の中に現れなければ、今こうして一緒にいる事は出来なかったのかな。

 葵が眠っていても、起きていても、この時間が、空間が、ただ葵と一緒にいられるだけで大好きだった。

 ずっとこのまま、一緒に過ごしていたい。
 卒業を迎えたらもう一緒にいられなくなるのかな?

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