隣の席に座るヤンキー男子の癖は甘噛みです


 私がクラスの中で一番多く、ヤンキー男子の若林くんから話かけられていた。


 朝の挨拶だって、私だけにしてくる。

 昼休みのお弁当も、おかずを取っていくのは私からだけ。


 いやでも勘ちがいしちゃうよね……

 私は地味子で、彼とは不釣り合いだって分かってる。


 最近よく会話してるクラスの可愛い女子と、彼が噂になってるのも知っていた。

 スクールカーストの輪の中で、若林くんは楽しそうにしてる。

 彼の居場所は、あそこだって頭の中では理解してるんだよ。


 でも……

 好きになってしまった、ヤンキー男子を……


 かなわない恋だと分かってるけど、隣の席で彼との一時を楽しんでもいいよね。

 なんて心の中で思いながら、隣の席で居眠りをする彼を見つめてる。


 その口元には、親指の先と爪があった。

 甘噛みする寝顔に、視線を向ける私。


 まったく気づいてなかったけど、その様子をクラスメイトの見られてた……



 私の幸せな時間は、長く続かないまま終わってしまう……



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