隣の席に座るヤンキー男子の癖は甘噛みです


 お昼休み、私は自分の席でお弁当を食べる。


 仲のいいグループの人たちが、机を迎え合わせにして楽しそうに食事をしていた。


 数人で、学校内の食堂に向かう姿も目にする。

 そんな光景を、遠目で見つめながら私は溜息をつく。


「はぁ……」


 これから、あのグループ内に入っていくのは無理に等しい。

 入学式から数日、すでに私の学校生活は躓(つまず)いてた。


「どうしたジミーちゃん、暗い顔してんじゃね~ぞっ!」


 校内の売店で、お弁当を買って戻ってきた若林くんが声をかけてくる。


「暗い顔は……生まれつきなんです……」


「おっ、そうか!わりぃ、傷ついたか?」


「べつに、そんなことないでけど……」


 隣の席に座るヤンキー男子は、よく私に話かけてくる。

 なので、言葉数は少ないけど、私から小声で話し返す機会が多くなってきた。

 なんて思いながら、ボーっとしてると隣から手が伸びてくるのに驚いてしまう。


「卵焼き、もらうぜっ!」


「あっ……」


 売店で買うお弁当の量が少ないようで、いつも私のおかずを取っていくヤンキー男子。


 でも、なぜか不快ではない。

 逆に、ちょっとうれしいかも……



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