隣の席に座るヤンキー男子の癖は甘噛みです


「ジミーちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけどよ」


「はい、なんでしょうか……」


 授業が終わった直後の休み時間。

 隣の席に座るヤンキー男子が、目を細めて話かけてきた。


「授業中、俺のこと見てたんじゃね~の?」


 ドキドキドキドキ、バレてる……


 胸が張り裂けるぐらい苦しいし、息づかいも荒い。

 メガネのレンズも曇ってきたので、動揺してしまう。


「そっ、そんなこと……ないですよ……」


 おっしゃるとうり、若林くんが爪を甘噛みする癖、ずっと見つめてました。

 なんて正直に言ったら、たいへんなことになってしまう!


 ここは、いつものように、うつむきながら前髪で顔の表情を隠すしかない。


「俺の勘ちがいだったか? 悪かったな」


 そう言った後、彼は何も追求してくることはなかった。


 ぜったい顔に出るし、嘘もつけない私。

 いつもピンチの時は、逃げるように顔を隠す。



 今回は何とか、バレずにすんだみたい……



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