鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
重い、大きな荷物に視界が妨げられながらも、なんとか資料室の前に到着した。


なんとか手を伸ばして、ドアをスライドする。


すると、強い日差しが瞬く間に飛び込んできて、ゆっくりと瞼を上げると、窓にもたれかかるように、鳳条さんらしき人が寝ていた。


……待って。なんで……鳳条さん…がいるの?


ここ、来ちゃいけない場所だった!?


慌てて、机の上に荷物を置いて、早くこの場を後にしたいのに、私の足は……ドアの方に動かなかった。


照らされる鳳条さんの顔が綺麗すぎて……


気づけば、私は……鳳条さんの髪に触れていた。


そこまできて、やっと自我を取り戻して離れようとした時、鳳条さんに、ぎゅっと手を握られた。
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