鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。

19 (君に伝わらないその真意)

19 (君に伝わらないその真意)
[狼side]


「いらない。」


そう言ったのは、聞きたくなかったからだ。


桜妃の口から、「無理」という言葉が出てくるのを……。


しばらくの間、沈黙が流れる。


そうしていると、何故か桜妃の瞳にどんどん涙が溜まっていった。


「え」


桜妃の頬を伝った涙が悲しげに俺の手に落ちる。


「っ、ごめんなさいっ」


分からない、桜妃の涙の意味が。


きっと伝わっていない、俺の言葉の真意が。


涙を親指の付け根あたりの位置で、乱暴に拭う桜妃。


そしてそのまま俯いてしまう。


「……鳳条先輩は……どんな人が好きなんですか……。」


……桜妃だよ。さっき言っただろ?
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