婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「そういえば……」
ケーキも一つ二つと食べ終わり、二杯目の紅茶に手を伸ばしたところでした。
「フローラ様。テンネル侯爵家の子息との婚約破棄の件はどうなりましたの?」
思いもかけなかった言葉に息をのみ、カップを持とうとした手が止まりました。
「もうすでに済んでしまったことですわ。婚約は解消になりました」
とっさの出来事に、言葉が出ない私の代わりに、ディアナが少し呆れたような口調で答えてくれます。
「そう……」
なにやら思案気な声音に体が震えてビビアン様の顔を見ることが出来ません。
婚約解消は数カ月前の事。両家の話し合いの結果決まったことです。
そのことについてクラスメートも口にすることはありません。万事、解決したと思っているので、今なぜこの件を蒸し返すのでしょう。私の中では過去の事すっかり忘れていました。
「破棄だろうと解消だろうとそれはどうでもいいけれど、それよりも、どうして格下の令嬢に負けたのかしら?」
「えっ?」