婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
そんなにわかりやすかったのね。
人前では平静を保っていたつもりだったのだけれど。
自分の気持ちをどう納めていいのかわからなくて、ふわふわと雲の上を歩いているようでおぼつかず。
レイ様の顔を思い浮かべただけでドキドキしてくるし、居ても立っても居られなくて、意味もなく部屋の中を歩き回ったりして。
でも、それは自室だけだと思っていたのですが、お母様も気づいていたなんて、恥ずかしい。
「そうでしたか? た、たぶん、仕事の、事を考えていたからですわ」
声が上擦ってしまったけれど、納得してくださいますか?
「そうねえ。忙しかったものね。負担をかけてしまったかしら。ごめんなさいね」
「いえ。そういうわけでは……」
失敗してしまったわ。余計に心配させてしまったのではないかしら。
「今は血色もよさそうだし、色艶もよくなってきたわね。でも、無理はしないでね。なにより健康が一番よ」