婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 故郷の国はジュラン皇国という。

 その昔、まだ我が国と国交があった頃にうちの先祖と恋に落ちた皇国の貴族令嬢。輿入れした令嬢は一度も故郷に帰ることなく、一生をこの地で過ごした。
 俺達にはジュラン皇国の貴族の血が入っている。かなり昔の出来事だから微量ではあるかもしれないが。そのせいか、ジュラン皇国にずっと憧れを持っていた。

「わかったのか?」

「そうですね。まずはフィンディス国の永住権が必要ですね。次に必要な書類と渡航許可書の申請を出して審査が行われる。審査の内容は極秘だそうで何が基準なのか一切わからないそうです」

「そうか」

 俺達は何年も前から、ジュラン皇国への渡航を模索していた。現在、国交があるのはフィンディス国のみ。しかも限られた地域でしか行われておらず、ましてやあちらの国に渡るには厳しい審査があると聞いていた。

「永住権か。まずはそこからして厳しいな」

 父上が渋い顔をしてため息をもらした。

 永住権を獲得するには最低でも五年はその国に住まなくてはいけない。そのうえで仕事の拠点を置いて税金を納めること。その金額や国への貢献具合に応じて永住権の申請条件も変わってくるのだ。
 他にも細かな規定がある。それをクリアしてやっとスタートに立てる。

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