婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「夫人教育をしているということは、リリアを次期侯爵夫人にするということなんですかね?」

 婚約をした当初は、侯爵側にはそこまでの意欲は感じられなかったのだが、ここに来て教育に力を入れだしたのはどうしてなんだろうか。疑問が湧き上がる。

「その準備があるということなんだろう。毎週末に侯爵家に呼ばれているところをみるとな。しばらく預からせてほしいとのことだから、任せるしかあるまい」

「そうですね。ゆくゆくは侯爵家に嫁入りする身ですから、あちらの申し出に異を唱えることはしませんが。ただ、大丈夫なんですかね? 怠惰的なリリアの事、侯爵家に迷惑をかけていなければいいのですが」

「かけているのだろうな。カリキュラムも見せてもらったが、成果が出ていないことはうちで見ていてもわかる。テーブルマナー一つ満足に習得できていない」

 なんというか、言葉が見つからない。唖然とするばかりだ。

 俺はこちらの邸に帰るから、リリアの様子などわからないが、毎日目にする父上はさぞ心苦しいだろう。元平民とはいっても酷すぎるな。

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